難病患者さんに対するさまざまな医療費助成制度
難病の患者さんやご家族が経済的に心配することなく治療を受けられるように、医療費の負担を軽くするさまざまな仕組みがあります。ここでは、特定医療費(指定難病)助成制度や小児慢性特定疾病の医療費助成制度について詳しく説明していきます。
特定医療費(指定難病)助成制度
特定医療費(指定難病)助成制度とは
- 指定難病の患者さんの医療費の負担軽減を目的として、認定基準を満たしている方に疾病の治療にかかる医療費の一部を助成する制度です。
- 「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が2015年1月に施行され、より公平かつ安定的な医療費助成の制度となりました。
難病、指定難病について
- 「難病法」では、難病を発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない希少な疾病であって、長期にわたり療養を必要とする疾病と定義しています。
- 難病のうち、患者さんの置かれている状況からみて、良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いものとして、以下の要件に基づき厚生労働大臣により指定されたものが指定難病です。
難病の定義 *難病法
- 発病の機構が明らかではない
- 治療方法が確立していない
- 希少な疾病
- 長期の療養を必要とする
指定難病
- 患者数が本邦において一定の人数※に達しないこと
- 客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が確立していること
※人口のおおむね千分の一(0.1%)程度に相当する数と厚生労働省令において規定しています
医療費助成を受けられる対象
- 指定難病と診断された患者さんのうち、その病状がそれぞれの疾病ごとに設定されている「重症度基準等」を満たした方が対象となります。
- 病状が重症度基準を満たさない場合でも、高額な治療が継続して必要とされる場合には、「軽症高額該当」として医療費助成が受けられます。
軽症高額該当
- 医療費総額が33,330円を超える月が、支給認定申請月以前の12ヵ月以内に3回以上ある場合、医療費助成が受けられます。
- 医療費総額とは、医療機関における医療費、薬局での保険調剤の他、医療保険における訪問看護等も含みます。
自己負担について
- 医療費助成の支給認定を受けた場合、自己負担額は、医療費の2割もしくは世帯所得に応じて設定された自己負担上限額(月額)のいずれか低い方となります。
- 複数の医療機関等の医療費をすべて合算できます。
医療費助成における自己負担上限額(月額)
自己負担額の管理
- 「自己負担上限額管理票」にて、月ごとの患者さんの窓口負担額が管理されます。
- 医療費の2割を負担し、自己負担の上限額までの負担となります。
(複数の医療機関にて、窓口支払いがあった場合も同様の取り扱いとなります)
自己負担上限額管理票
高額かつ長期
- 指定難病の支給認定を受けた方について、高額な医療が長期的に継続する場合に、さらに負担を軽減できる制度です。
- 医療費総額が50,000円を超える月が、支給認定申請月以前の12ヵ月以内に6回以上(または支給認定を受けた月以降6回以上)ある場合、申請により、申請日の属する月の翌月から「高額かつ長期」の自己負担上限額に変更されます。
特定医療費(指定難病)助成制度を利用した場合の自己負担額
小児慢性特定疾病の医療費助成制度
小児慢性特定疾病の医療費助成制度とは
- 小児慢性特定疾病にかかっている児童等について、健全育成の観点から、患児家庭の医療費の負担軽減を図るため、その医療費の一部を助成する制度です。
- 「児童福祉法の一部を改正する法律」(児童福祉法)が2015年1月に施行され、より公平かつ安定的な医療費助成の制度となりました。
小児慢性特定疾病について
- 「児童福祉法」では、小児慢性特定疾病を、18歳に満たない者が当該疾病にかかっていることにより、長期にわたり療養を必要とし、及びその生命に危険が及ぶおそれがあるものであって、療養のために多額の費用を要するものとして厚生労働大臣が定める疾病と定義しています。
- 指定難病はすべて小児慢性特定疾病に含まれます。
小児慢性特定疾病
- 慢性に経過する疾病であること
- 生命を長期に脅かす疾病であること
- 症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること
- 長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること
医療費助成を受けられる対象
- 18歳未満で、小児慢性特定疾病にかかっており、その病状が認定基準を満たした患者さんです。
- 認定基準は、それぞれの疾病の特性に応じて設定されています。ただし、18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる場合には、20歳未満の方も対象となります。
- 制度の対象となる定められた基準は、疾病によって異なります。
民法改正による成人年齢引き下げに関して
2022年4月1日より、民法の改正が施行され、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
小児慢性特定疾病の医療費助成制度では、18歳以上から20歳未満の患者さんについて、これまでご家族等が申請者として手続きを行っていましたが、患者さんが「成年患者」として「本人名義での申請手続き」を行う必要があります。
なお、受給内容自体に変更はありません。
*患者さん本人による申請が難しく、ご家族等が申請される場合には、「委任状」が必要です。
*その他、子どもの医療費に対して、すべての都道府県・市区町村で独自の助成が行われています。
詳しくは、お住まいの自治体窓口にお問い合せください。
*医療制度は改訂されることがありますので最新の状況を市区町村にお問い合わせください。
自己負担について
- 医療費助成の支給認定を受けた場合、自己負担額は、医療費の2割もしくは世帯所得に応じて設定された自己負担上限額(月額)のいずれか低い方となります。
- 複数の医療機関等の医療費をすべて合算できます。
- 「自己負担上限額管理票」にて、月ごとの患者さんの窓口負担額が管理されます。
小児慢性特定疾病医療費助成制度における自己負担上限額(月額)
重症患者認定基準について
- 費用が高額な治療を長期間にわたり継続しなければならない方、また療養に係る負担が特に重い方について、重症として申請することができます。
- 認定を受けた場合、自己負担の上限額が変更されます。
- 高額な医療が長期的に継続する方については、重症の他に医療費総額が50,000円を超えた月が年間6回以上ある方となります。
小児慢性特定疾病医療費助成制度を利用した場合の自己負担額
申請方法 ー医療費助成制度の支給認定を受ける流れー
指定難病・小児慢性特定疾病の医療費助成を受けるためには、申請が必要です。
①診断書の作成
指定医療機関を受診し、指定医に診断書※を作成してもらいます。
※指定難病制度:臨床調査個人票/小児慢性特定疾病制度:医療意見書
指定難病助成制度の指定医には、新規申請と更新申請における診断書の作成ができる「難病指定医」と、更新申請における診断書のみ作成できる「協力難病指定医」がいます。
②申請
申請に必要な書類を揃えて都道府県・指定都市等に申請します。
*受付窓口や必要な書類は、都道府県・指定都市等により異なりますので、お住まいの都道府県・指定都市等の窓口に
お問い合せください。
*マイナンバー(個人番号)を提出することにより書類の一部を省略できる場合があります。
③認定
都道府県・指定都市等により審査が行われ、認定基準に該当する場合、支給認定が行われます。
*審査の結果、不認定となった場合は不認定通知が送付されます。
④受給者証の交付
認定されると、「医療(費)受給者証」と、「自己負担上限額管理票」が交付されます。
*受給者証には疾病名、負担上限月額、有効期間等が記載されています。
医療(費)受給者証がお手元に届くまでの期間において、助成対象となる疾患の医療費を負担した場合は、自己負担上限額を超える金額の払い戻しを受けることができます。還付申請が必要となります。
⑤患者さんの受診
「医療(費)受給者証」と「自己負担上限額管理票」を医療機関の窓口にご提示ください。医療費の助成制度を受けることができます。
認定後の更新と変更申請について
- 支給認定の有効期間は、原則1年以内です。
- 有効期間をすぎて治療継続が必要な場合は、更新の申請を行います。
- 有効期間内に、一定の申請内容や負担上限月額算定のために必要な事項に変更があった場合は、届出が必要となります。
- 負担上限月額が変わる場合や、疾患名の追加・変更がある場合は、変更申請が必要となります。
難病の患者さんが利用できる主な医療費助成制度については、患者さん向け冊子「~安心して治療を続けるために~ 難病患者さんに対するさまざまな医療費助成制度」でもご覧いただけます。
ダウンロードする2023年6月時点の情報を元に作成しています。
作成年月:2024年4月