症状と合併症
自分の症状を知りましょう
PNHの症状は、患者さんによってさまざまです。自覚する症状がまったくなかったり、予期せずあらわれる場合もあります。また、PNHでは慢性的に溶血が起こっているため、その症状が時間の経過とともに変化することもあります。自分の症状の変化を見逃さないようにしましょう。
PNHであらわれる主な自覚症状と合併症
PNHでは、さまざまな自覚症状や重大な合併症が起こる可能性があります1)。
例えるならPNHであらわれる自覚症状は氷山の一角のようなものです。見えないところで病状が進行していたり、重い合併症が潜んでいるかもしれません。
溶血による合併症
PNHの溶血は、自覚する症状がある、ないにかかわらず起こっています。溶血によって赤血球の中にあるヘモグロビン赤血球内にある赤褐色のタンパクです。全身に酸素を運びます。赤血球の外に出ると有害物となり、からだに重大な悪影響を引き起こすことがあります。などが血液中に流れ出て、次のような合併症を発症することがあります。
肺の障害
PNH患者さんの約2分の1は肺高血圧症肺に血液を送る動脈の血圧が高い病気のことです。血液が肺に到達しにくくなり、心臓の動きが悪くなります。を合併しています(海外データ)2)。肺高血圧症は、溶血による一酸化窒素の減少が原因と考えられており、息切れや呼吸困難感などの症状を引き起こします。
腎臓の障害
急性または慢性の腎障害にかかることがあります。
血栓症
血管の中で固まった血液(血栓)が、静脈や動脈をふさぐことで、心臓発作や脳卒中、臓器障害などを起こすことがあります。
疲労
溶血により赤血球が破壊されると、ヘモグロビンが不足してしまい、十分な酸素を全身へ運べなくなってしまいます。このため、以前は普通だった日常活動がつらくなるほど、脱力感や疲労感を感じることがあります。→よくある質問「なぜこんなに疲れるんだろう?」参照
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1)発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド 令和4年度改訂版
2)Hill A, et al. Br J Haematol. 2010; 149(3): 414-425