発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療フロー

PNHの治療は、溶血に対する治療と骨髄不全に対する治療に大別されます。
骨髄不全に対しては、おおむね再生不良性貧血の治療方針に準じます。
溶血に対しては、溶血所見に基づいた重症度に準じて行われます。
軽症では経過観察に加え支持療法が行われます。
中等症以上では抗補体療法が対象となり、効果をもとに根治療法としての造血幹細胞移植が検討されます(図1)1)

図1:PNHの治療フローチャート 図1:PNHの治療フローチャート

図1:PNHの治療フローチャート

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療指針

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対する唯一の根治療法は造血幹細胞移植です。
ただし、施術の適応は合併症のリスクの高さから、重度の骨髄不全や繰り返す血栓症など、生命予後に関わる病態を伴う若年者に限られます。
そのため治療は各病態に対する対症療法が中心となります(図2)1)

図2:PNH の病態別治療方針 図2:PNH の病態別治療方針

図2:PNH の病態別治療方針

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬・治療法

PNHの治療法や治療薬については、以下が挙げられます。
なお、以下の治療法・治療薬のうち、PNHに適応を有しているのは抗補体療法と同種・同系造血幹細胞移植のみです。そのため治療は各病態に対する対症療法が中心となります。
各治療薬・治療法の詳細については各製品の電子添文、発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド 令和4年度改訂版等をご参照ください。

  • (1)抗補体療法
  • (2)副腎皮質ステロイド薬
  • (3)輸血療法
  • (4)鉄剤・葉酸
  • (5)ハプトグロビン
  • (6)免疫抑制剤
  • (7)G-CSF
  • (8)蛋白同化ステロイド薬
  • (9)同種・同系造血幹細胞移植(HSCT)
  • (10)血栓溶解剤・ヘパリン
  • (11)ワルファリン
  • その他の詳細については、製品電子添文をご参照ください。また、電子添文の改訂には十分ご注意ください。

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療に関するクリニカルクエスチョンより

PNH診療の参照ガイドより、抗補体療法に関するClinical Questionsをご紹介します。

CQ4 中等症で抗補体療法が検討されるのはどのような場合か?

推奨グレード カテゴリー2B
中等症でも臨床症状を伴う場合や腎障害がある場合は積極的に治療を考慮してよい。

詳しくは「PNH診療の参照ガイド令和4年度改訂版 解説動画 - Clinical Question 4 -」をご覧ください。

解説動画 - Clinical Question 4 -

       

CQ5 抗補体療法を行う場合Eculizumab とRavulizumab はどちらが勧められるか?

CQ5 抗補体療法を行う場合
Eculizumab とRavulizumab はどちらが勧められるか?

推奨グレード カテゴリー1
抗補体療法を初めて導入する場合は、投与間隔の違いを考慮してeculizumabもしくはravulizumabのいずれかを選択する。
推奨グレード カテゴリー2A
eculizumab 治療中に不十分なC5 阻害によるブレークスルー溶血を認める場合はravulizumab への変更が推奨される。

詳しくは「PNH診療の参照ガイド令和4年度改訂版 解説動画 - Clinical Question 5 -」をご覧ください。

解説動画 - Clinical Question 5 -

       
1)
発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド 令和4年度改訂版, 2023年3月.

【監修】大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学
招聘教授 西村 純一 先生

作成年月:2024年9月

  • ボイデヤ®(ダニコバン)
  • ユルトミリス®(ラブリズマブ)
  • ソリリス®(エクリズマブ)

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