発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の症状

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の徴候と主な自覚症状について

PNHでは、血管内溶血によって貧血やヘモグロビン尿など、さまざまな症状が認められます(図1)。
自覚症状の有無やその程度は患者さんによって異なります。無症状のケースや、予期せず症状が現れるケース、また、症状が時間の経過とともに変化することもあります。
ただし、自覚症状の有無やその程度にかかわらず、生命にかかわる合併症が隠れている場合があるため、合併症の罹病リスクおよび重篤な転帰を判定するうえで、包括的臨床評価は重要です1)-3)

図1:PNHの徴候及び症状 図1:PNHの徴候及び症状

図1:PNHの徴候及び症状

さらに、PNHを抱える患者さんはQOLの低下に苦しんでいるとの報告もあります8)

患者さんが受診された際に使用できる症状チェックの問診票をご用意していますのでご活用ください。

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の合併症と転帰

PNHは、再生不良性貧血を代表とする後天性骨髄不全疾患としばしば合併・相互移行するとされています。
また、血栓症はPNHに特徴的な合併症であり、まれに、急性白血病への移行もあるとされています9)
以下に主な合併症を示します9)

  • 造血不全
  • 血栓症
  • 重症感染症
  • 骨髄異形成症候群
  • 白血病
  • 腎不全

PNH患者の42.1%(海外)および7.9%(日本)で血栓症が(図2)、また、PNH患者の7.9%(海外)および18.4%(日本)で腎不全が死亡の原因になっている4)という報告があります。
また、既存の支持療法を受けているPNH患者の35%は診断から5年以内に重篤な転帰に至る10)という臨床データもあります。
なお、日本人のPNH患者で血栓症を有する割合は11.9%と報告されており11)、PNHの診断から初回の血栓イベント発現までの期間中央値は2.3年という報告があります12)(図2)。

図2:PNH患者の血栓症の特徴 図2:PNH患者の血栓症の特徴

図2:PNH患者の血栓症の特徴

日本人のPNH患者を対象にした臨床試験では、登録患者27例のベースラインにおけるCKDのステージを分類したところ、63.0%がCKDありと報告されています(図3)9)

図3:国内臨床試験におけるPNH患者のCKDステージ 図3:国内臨床試験におけるPNH患者のCKDステージ

図3:国内臨床試験におけるPNH患者のCKDステージ

1)
McKeage K. Drugs. 2011;71(17):2327-2345.
2)
Parker C, et al. Blood. 2005;106(12):3699-3709.
3)
De Cobelli F, et al. PLoS One. 2015;10(4):e0122832.
4)
Nishimura JI, et al. Medicine (Baltimore). 2004;83(3):193-207.
5)
Schrezenmeier H, et al. Haematologica. 2014;99(5):922-929.
[利益相反:本研究はAlexion Pharmaceuticals, Inc.の支援によって実施された。本論文の著者にAlexion Pharmaceuticals, Inc.の社員が含まれる。]
6)
Weitz I, et al. Intern Med J. 2013;43(3):298-307.
[利益相反:本試験はAlexion Pharmaceuticals, Inc.の支援によって実施された。本論文の著者にAlexion Pharmaceuticals, Inc.の社員が含まれる。著者にAlexion Pharmaceuticals, Inc.より研究助成金、諮問委員会の参加料を受領した者が含まれる。]
7)
Hill A, et al. Br J Haematol. 2010;149(3):414-425.
[利益相反:本試験はAlexion Pharmaceuticals, Inc.の支援によって実施された。]
8)
Dacie JV, Lewis SM. Paroxysmal nocturnal haemoglobinuria:clinical manifestations, haematology, and nature of the disease. Ser Haemat. 1972;5(3):3-23.
9)
Kanakura Y, et al. Int J Hematol. 2013;98(4):406-416.
[利益相反 : 本試験はAlexion Pharmaceuticals, Inc.の支援のもと実施された。本論文の著者にAlexion Pharmaceuticals, Inc.の社員が含まれる。著者にAlexion Pharmaceuticals, Inc.より研究助成金、講演料等を受領している者が含まれる。
10)
Kanakura Y, et al. Int J Hematol. 2013;98(4):406-416.
[利益相反:本試験はAlexion Pharmaceuticals, Inc.の支援のもと実施された。本論文の著者にAlexion Pharmaceuticals, Inc.の社員が含まれる。著者にAlexion Pharmaceuticals, Inc.より研究助成金、講演料等を受領している者が含まれる。]
11)
Ikezoe T, et al. Int J Hematol. 2022;115(4):470-480.
12)
de Latour RP, et al. Blood. 2008;112(8):3099-3106.

【監修】大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学
招聘教授 西村 純一 先生

作成年月:2024年9月

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