PNHにおける溶血

溶血身体の自然防御システムの一部である補体によって赤血球が壊されること。溶血は、PNHにおける徴候や症状に加え、生命を脅かすこともある深刻な健康問題の主因です。 について

  • 溶血は、補体補体カスケードとしても知られています。健康な人では、体内の自然防御システムの一環として血中で一連の補体反応が起こります。補体は体内で、細菌などの外来物の除去を助ける働きをします。 という体内の自己防御システムの一つによって、赤血球体内で酸素を運び、老廃物(二酸化炭素)を取り去る働きを持つ細胞の一つ。PNHになった赤血球(PNH型赤血球)は、制御タンパクがないため、攻撃されて壊されます。 が壊されることです1
  • PNH制御タンパクを欠いた赤血球が作られる病気。そのため、赤血球は破裂して(溶血)、深刻な健康問題を招きます。徴候や症状としては、腹痛、嚥下困難(ものを飲み込みにくいこと)、貧血、息切れ、疲労があります。PNHの致死的合併症としては、血栓、腎不全、臓器障害などがあります。 では、溶血は常に起こっています2,3
  • 絶え間なく起こる溶血が PNHの徴候や症状、深刻な健康問題の根本的な原因となります2,4
  • 簡単な血液検査血液の成分を調べるための検査。検査の例としては、全血球計算(CBC)、LDH、高感度フローサイトメトリーなど。こうした検査の結果(数値)からPNHに関する情報が得られます。 によるLDH(乳酸脱水素酵素)赤血球に存在する酵素であり、溶血時に血液中へ放出されます。LDH検査の結果により体内でどの程度の溶血が起こっているかわかります。 値であなたの溶血程度がわかります5
  • 溶血を軽減することが PNHをコントロールするための鍵となります6

PNHはちょうど氷山のようなものです。自覚症状は氷山の一角です

自覚できない(目で見たり感じたりできない)徴候・症状でも深刻な健康状態にある場合があります2,4

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溶血は自覚できるとは限らず、発見しにくいものです。溶血がコントロールされないままでいると、疲労感が強くなり脱力した状態になります。溶血は、次のような徴候や症状にもつながります2,4

  • 疲労疲れて集中力が低下し、めまいも伴い、普通の日常的な動作・活動でも労力を要するようになるほどの虚弱な状態。PNHでは、疲労は、溶血の影響により生じるため、ヘモグロビン値で測定した貧血の程度と比例していないことが多いようです。
  • QOLの低下
  • 嚥下困難(ものを飲み込みにくい)
  • 腹痛
  • 息切れ
  • 茶褐色の尿
  • 勃起不全(ED)男性でみられる、勃起達成能に影響を及ぼす状態。

なぜ溶血が問題なのでしょう?

溶血が起こると赤血球は壊れて、ヘモグロビン赤血球に存在し、酸素を全身に運ぶ赤褐色の物質。溶血の過程で血流へ放出されると、遊離ヘモグロビンになります。遊離ヘモグロビンは有害であるため、深刻な健康問題をきたします。 が放出されます。ヘモグロビンは赤血球内にある時には良い働きをしますが、赤血球の外に出ると非常に有害なものとなり、身体に対しさまざまな悪影響を与えます2,7,8

溶血を自覚することはできませんが、深刻な健康問題を抱えた状態にあります。その健康問題には以下のようなものがあります。

  • 腎不全9,10
  • 血栓血液成分の一部が凝集して、血栓または血栓症が生じます。健康な身体では、切り傷や損傷を受けた時に血栓が生じて出血を止めることができますが、ある特定の状態では、これらの血栓が静脈内および動脈内の血流を止めて、生命を脅かす場合があります。PNHでは、血栓が常に生じうる状態にあるので、深刻な健康問題を引き起こすことがあります。 11-13
  • 脳卒中脳卒中では脳内での血栓形成または動脈破裂の結果として、脳への血液供給が欠乏し脳の機能が急速に低下します。複数回発症すると命を脅かすことがあります。 11-13
  • 心臓発作多くの場合、冠状動脈内の血栓により心筋のある部位に酸素が行き届かず起こる障害。心臓発作は深刻な症状であり、死に至ることもあります。 11-13
  • 肝臓、脳、肺への障害11,12

PNHはちょうど氷山のようなものです。自覚症状は氷山の一角です。自覚できる徴候・症状がなくても深刻な健康状態にある場合があります。

溶血の程度を調べる検査はありますか?

乳酸脱水素酵素(LDH)赤血球に存在する酵素であり、溶血時に血液中へ放出されます。LDH検査の結果により体内でどの程度の溶血が起こっているかわかります。 に対する簡単な血液検査によって、溶血の程度を知ることができます。LDHは赤血球に存在する酵素体内での反応やプロセスが起こりやすいように促すタンパクの一種。 です。血中に高濃度の LDH が確認されたら、赤血球の多くが壊れてしまっている(溶血している)ことになります5

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References: 1. Hillmen P, Lewis SM, Bessler M, et al. N Engl J Med. 1995;333:1253-1258. 2. Rachidi S, Musallam KM, Taher AT. Eur J Intern Med. 2010;21:260-267. 3. Rosse WF. Paroxysmal nocturnal hemoglobinuria. In: Hoffman R, Benz EJ Jr, Shattil SJ, et al, eds. Hematology: Basic Principles and Practice. 3rd ed. New York, NY: Churchill Livingstone; 2000:331-342. 4. Borowitz MJ, Craig FE, DiGiuseppe JA, et al; for Clinical Cytometry Society. Cytometry Part B. 2010;78B:211-230. 5. Lee JW, Jang JH, Kim JS, et al. Blood. 2011;118: Abstract 3166. 6. Rother RP, Rollins SA, Mojcik CF, et al. Nat Biotechnol. 2007;25:1256-1264. [Published correction appears in Nat Biotechnol. 2007;25:1488]. 7. Hill A, Sapsford RJ, Scally A, et al. Br J Haematol. 2012;158:409-414. 8. Rother RP, Bell L, Hillmen P, et al. JAMA. 2005;293:1653-1662. 9. Hillmen P, Elebute M, Kelly R, et al. Am J Hematol. 2010;85:553-559. 10. Kelly R, Richards S, Hillmen P, et al. Ther Clin Risk Manag. 2009;5:911-921. 11. Hillmen P, Muus P, Dührsen U, et al. Blood. 2007;110:4123-4128. 12. Adams T, Fleischer D, Marino G, et al. Dig Dis Sci. 2002;47:58-64. 13. Brodsky RA. Paroxysmal nocturnal hemoglobinuria. In: Hoffman R, Benz EJ Jr, Shattil SJ, et al, eds. Hematology: Basic Principles and Practice. 4th ed. Philadelphia, PA: Elsevier Churchill Livingstone; 2005:419-427.